PostmanはAPI Network上にMCPサーバーの中央カタログを立ち上げた。表向きは開発者の利便性だが、本質はエージェント時代に誰が流通を支配するかである。AnthropicのModel Context Protocolが、LLMが外部ツールを呼び出す事実上のインターフェースになりつつあり、OpenAIも相互運用性に向けてfunction callingの姿勢を和らげるなか、10万件超のAPIコレクションを持つ同社は発見の門番になろうとしている。

この戦略的反転は製品そのものより重要だ。20年間、APIを公開するとは、開発者がそれを見つけて使えることを意味していた。その前提は溶けつつある。これからは、APIがClaude Desktop、Cursor、Windsurfのようなクライアントの検討対象に入るだけでも、MCP形式で公開され、Postmanのような中央インデックスに登録されていなければならない。可視性は存在することの属性ではなく、カタログ化されていることの属性になる。これはオープンウェブがGoogle媒介の経済へ変わったのと同じ変化であり、今度は統合レイヤーで再演されている。

機会は、防御可能なドメインの深さを持つベンダーに有利に働く。税務コンプライアンス、給与計算、契約ワークフロー、規制対象の財務報告など、難しいローカルロジックをコード化したソフトウェアは、世界中のエージェントビルダーにとって代替不能な参照点になりうる。水平型のグローバルSaaSは、法域固有のルールを容易には複製できないからだ。エージェント時代にその優位を捉えるには、英語のドキュメント、クリーンな認証フロー、カタログ掲載を、後付けではなく一体の実行規律として束ねる必要がある。

リスクは複合する。エージェントが意図しない用途でAPIを呼び出し、セキュリティや利用規約上の露出を高める可能性がある。MCP経由の呼び出しがネイティブUIを迂回すれば、SaaSのUIは価値を捕捉する仲介者としての地位を失い、価格設計は利用量またはトークン連動モデルへ見直しを迫られる。そして米国拠点の単一ゲートキーパーは、不透明な掲載・ランキング基準への構造的依存を生む。よく知られたプラットフォームリスクの型だ。

推奨される動き:CTOに90日間のMCPロードマップを担当させること。まず読み取り中心でエージェントに向いたAPIをMCPサーバーへ変換すること。従量課金型の価格帯を試験導入すること。そして単一プラットフォームのレバレッジを薄めるため、業界横断のMCP標準を追求すること。エージェント経済におけるポジショニングは、今後12〜18カ月の実行速度で決まる。