GPUや高性能コンピューティング向けに使われるグラフィックスメモリに、GDDR7という新しい世代が登場しています。JEDECが規格を策定し、SamsungやMicronなどが開発を進めています。本ガイドではGDDR7の主な特徴を前世代と比較しながら整理します。

GDDRとは — グラフィックス向けDRAM

GDDR(Graphics Double Data Rate)は、GPUのフレームバッファや高速データアクセスを担うメモリです。標準DRAM(DDR)と比べて高い帯域を比較的低コストで実現しやすい点が特徴で、ゲーム用グラフィックスカードや一部のAIアクセラレータで採用されてきました。

世代はGDDR5、GDDR6、GDDR6Xと進化し、2024年にJEDECがGDDR7規格(JESD239)を公開しました。

GDDR7の主な仕様ポイント

GDDR7の最大の特徴は、PAM3信号方式の採用です。これにより、1デバイスあたりの帯域が最大でおよそ192 GB/s(48 Gbps/ピン時)に達する可能性があります。これはGDDR6の最大値の約2倍に相当します。

初期の製品では32 Gbps前後から始まり、ロードマップで48 Gbpsへ引き上げられる方向です。電圧は1.1〜1.2V程度とされ、従来の1.35V前後から低減されています。

チャネル構成もGDDR6の2チャネルから4チャネルへ増え、並列性を高めています。また、on-die ECCなどの信頼性機能も取り入れられています。

前世代との比較

項目 GDDR6 GDDR6X GDDR7
信号方式 NRZ (PAM2) PAM4 PAM3
最大データレート(目安) 〜24 Gbps 〜21-24 Gbps 32 Gbps〜(最大48 Gbps)
1デバイス帯域(目安) 最大96 GB/s程度 84 GB/s程度(21 Gbps時) 最大192 GB/s程度
独立チャネル 2 2 4
電圧(目安) 1.35V 〜1.35V 1.1-1.2V
主な特徴 標準的なGDDR6 Micron独自の高速化 JEDEC標準のPAM3

数値はJEDEC仕様および各社公表・報道に基づく代表値です。実際の動作速度は実装やビニングにより異なります。出典 出典

PAM3の意義

PAM3は3つの電圧レベルで信号を表現し、2サイクルで3ビットを伝送する方式です。従来のNRZより高周波での効率が改善する可能性があり、GDDR6Xで採用されたPAM4とは異なるトレードオフを選択しています。JEDEC標準として初めてPAMインターフェースを採用した点が技術的な注目点です。

GPU・AIでの位置づけ

GDDR7は主に次世代グラフィックスカード向けに開発されています。一部のAI推論カードやエッジ寄りのアクセラレータでは、HBMのような極めて高い帯域が不要な場合にGDDRが選択されることがあります。HBMが大規模訓練向けの「高帯域メモリ」であるのに対し、GDDR7はバランスの取れた選択肢の一つです。

AI PCやワークステーション向けGPUでも、将来的にGDDR7の採用が進む可能性があります。半導体メモリの全体像については半導体メモリ 完全ガイドも参照してください。

関連ガイド

GDDR7とHBMの違いや使い分けの文脈は半導体メモリ 完全ガイド、HBMの世代比較はHBM3EとHBM4の違いとは、用語集は半導体・AI用語集を。ガイド一覧はこちら。