NexperiaとTata Electronicsは、グジャラート州とアッサム州の各拠点において、ウェーハ製造、組立・テスト、技術開発にわたる協力関係の構築に合意した。文面上はありふれたパートナーシップ発表に映るかもしれない。だが実態は、インドが単なる川下の組立拠点にとどまらず、半導体サプライチェーンの構造的な結節点となれるかどうかを賭けた試みである。

この戦略的論拠の核心はコスト削減ではなく、分散化にある。Nexperiaはオランダに本社を置きながら中国資本の傘下にあるという地政学的な十字砲火の中に立たされており、その所有構造はすでに欧米規制当局の審査を招いている。インドに生産能力を置くことで、ワシントンに友好的で産業投資を渇望し、かつ締め付けが強まる米中輸出管理の周縁の外に位置する法域を確保できる。自動車や産業機器、電力システムに使われるパワーディスクリートやアナログ部品においては、今や限界効率の追求よりもレジリエンスが優先される。一方のTataにとっては、グリーンフィールドのファブ計画で最も調達困難な資産——実績ある大量生産ノウハウ——を持つパートナーを得ることになる。

率直な注意点も挙げておく必要がある。ファブの評価軸は四半期ではなく年単位だ。インドにはまだ、台湾や韓国が数十年かけて積み上げてきた深い部材・部品のエコシステム、歩留まり改善の専門人材、そして安定した水と電力網が欠けている。発表は容易だが、フル稼働で高歩留まりを達成した生産能力の構築は容易ではない。これは一夜で切り替わるスイッチではなく、10年規模の建設プロジェクトの始まりとして捉えるべきである。

日本にとって、このシグナルが持つ意味は一見よりも鮮明だ。このプロジェクトが省略できない工程の数々——フォトレジストや特殊化学品、シリコンウェーハ、成膜・テスト装置、パッケージング材料——において、日本企業は支配的な地位を占めている。インドに新たな製造回廊が生まれることは、Tokyo Electron、Shin-Etsu、JSRといった日本勢が販売する製品群への需要を着実に押し上げる。日本自身のRapidusやTSMC熊本工場への動きも、並行する分散化の物語であり、インドが第三の極となることは、サプライチェーンが複数のハブへと地域化しつつあるという見方を補強する。そして日本はいずれが覇権を握ろうとも、その大半にとっての供給元であり続ける。

日本のメーカーやそれを支えるSIerにとって、実践的な示唆は調達戦略にある。2021年のディスクリート半導体不足で痛手を受けた自動車メーカーや産業機器のOEMは、インド拠点のNexperiaラインを単なる話題の種としてではなく、早期に認定する価値のある真のセカンドソースとして捉えるべきだ。その認定作業——セカンドソーシング、BOM再設計、サプライチェーン可視化ツールの整備——は、日本のインテグレーターの強みが発揮される複数年にわたる取り組みそのものだ。今まさに新興サプライノードを把握しているチームこそが、次の供給不足が訪れたとき、企業が真っ先に頼る存在となるだろう。